五味さん「友人ががんで突然亡くなり怖くなりました。がんになったときのために、がん保険に入ろうと考えています」
一般に、保険は目的限定型であればあるほど、ほんとうに買ったほうがいいのかの疑問度が上がります。裏を返せば、できるだけ多くの「万が一」に対応可能な保険を選ぶほうが賢明ということです。がんはカバーするとして、脳梗塞はカバーしなくてもほんとうに大丈夫ですか? 脳卒中や肺炎は? どうしても入る必要があるなら、なるべく広範囲の「万が一」を効率よくカバーする商品を選ぶのが賢明です。

六角さん「どうせなら一定期間しかカバーされない定期保険ではなくて、一生涯保障の続く終身保険が安心だと思っています」
終身保険の貯蓄・運用機能については十分に注意を喚起してきましたが、もう1つのセールストークポイントである「途中で終わらない、一生涯続く保障」はどうでしょうか? 結論から言えば、そもそも死亡保障は一生涯は要らないのがふつうです。たとえば、70歳になって子どもたちも家庭を持って経済的に自立しており、しかもご本人夫婦は年金と蓄えで生活しているのなら、もう生命保険は不要です。たとえご本人が亡くなっても、奥様が経済的に困ることはないからです。

保険の必要度は人生のフェーズによって変わります。定期保険なら必要な期間だけ加入するフレキシブルな対応が可能ですが、終身保険はそういうわけにいきません。もちろん途中でやめることはできますが、満了前に解約すれば、大抵は損失が出てしまいます。終身保険は「一生涯、保障が続く」というよりは、「(ほんとうは必要ないのに)一生涯、保障が続いてしまう……」というありがた迷惑な商品だとも捉えられるのです。

七尾さん「バリバリ共働きの夫婦です。どちらが倒れてもいいように、夫婦それぞれに生命保険をかけておこうかな……」
共働きでどちらも十分な給料を得ているのであれば、片方に万が一のことがあっても、残された方の給料で生活費を賄える可能性が高いですよね。そうであるなら、お2人とも生命保険は要りません。金銭的に困る方がいないのなら、生命保険は必要ないのです。