加えて、ゼロ成長も重荷だ。ゼロ成長だと、普通の会社は売り上げも利益も前年並みだが、銀行はそうではない。企業が設備投資をしない(更新投資はするが、その資金は減価償却で賄える)ので、利益のうちで配当されなかった部分は借り入れの返済に回されてしまう。つまり、ゼロ成長だと融資残高は減り、銀行の収益も減少していくのだ。

 こうした状況を補うために、貸出金利の引き下げ競争が繰り広げらているわけだが、これもまた銀行の収益を悪化させている。

 このような短期的な収益圧迫に対して、新卒採用の絞り込みの効果は限定的との見方もあるが、そうとは言い切れない。新入社員の給料は安いが、採用コストや教育コスト、それからミスをして銀行に迷惑をかけるリスクなどを考えれば、新人を雇うコストは決して小さくないからだ。

 加えて、今のような売り手市場の就職戦線においては、従来のような大量の優秀な人材を集めるのは容易ではないから、人数をしぼって優秀な学生だけを採用するということも大いに意味がある。

 加えて銀行は、長期的にはフィンテックなどにより、必要な労働力が減っていくと言われている。そうであれば、早めに手を打って新卒採用をしぼっていくことが、長期的な銀行経営にも重要だ。新卒を採用してしまうと、長期にわたって余剰人員を抱え込むことにもなりかねないからだ。

機械化や合理化対応の実現で
現在の行員もリストラされず助かる

 短期的には銀行の収益悪化が予想され、長期的には必要労働力の減少が予想されるならば、現在、銀行で働いている現役行員が懸念するのは、「リストラ」だろう。その点、早めに新卒採用をしぼってもらえば、「余剰人員」が発生する可能性が減り、リストラが行われる可能性も減る。