長年、女性ジャーナリストとして官界の取材をしていると、福田次官のような暴言を受けることは頻繁にある。露骨に、「店出たら、運動しない?」と誘ってきた官僚もいれば、「最初に会った時に“具合”のよさそうな女だと思った」と、侮辱に近い発言を受けたこともある。

 最近でこそ、「体力余っているなら、ジムにでも行ったらどうですか?割引券あげますよ」とか「私は極めて“健康体”です」などと、適当にあしらうこともできるようになったが、年齢が若ければ正義感の方が勝り、怒ってしまうのも致し方ない。

 そもそも、われわれの仕事は取材先から情報を“いただかなくてはいけない”仕事だ。何時であろうと、次官などの幹部クラスから呼ばれれば駆けつける。しかし、駆け出しの頃は、相手と駆け引きできるだけの情報を持っていないし、政策論を戦わせることもできない。結果を出さなければいけないという焦りには常に追われている。女性記者がこうした仕事をする国として、日本はまだまだ不利な環境という現実が目の前に立ちはだかる。

 相手が女性記者だという前提で、そういう部分につけ込んで前述のような発言したとしたのなら、それは許されないことだし、恐らく、これまでも幾度となく同様の被害を受けていたからこそ、この女性は録音していたのではないか。

最前線に立っている
若手、中堅の気持ちを踏みにじる

 福田次官の行為は、現場の最前線に立っている若手や中堅の気持ちも踏みにじったと、筆者は前述した。

 幹部クラスになると、現場は中堅に任せ、夕方以降は政治家への説明を始め、省内の調整や他省庁との折衝などを目的とした「会合」を何件も重ねることが多い。そうした幹部の活動を陰で支えている中堅官僚には、福田次官を慕う後輩が多かったことを筆者は知っており、それゆえ、落胆を感じざるを得なかったのだ。