彼らがそれらの行為を不正とはっきり認識していたか、どうかは別として、銀行の中で何か良くないことが行われているらしいと知っていただろう。しかし、誰もそれに対して異を唱えず、唯々諾々と上司の指示に従い、真面目にその実務をこなし、大過なく過ごそうとした。

 強制捜査が入った時、彼らは大いに慌てた。検察に取り調べられた時、「上司の命令」と供述したことは難くない。

 山一証券の飛ばしの時もそうだ。実務は社員がやっていた。しかし誰ひとり、それに異を唱えることなく、役員と一緒になって不正に手を貸していた。

 オリンパスもそうに違いない。社長ら経営陣が悪いのは当然だが、社員が実務を担当しなければ、組織的不正はできないはずだ。

 大王製紙のバカ坊ちゃん会長が、裁判で「悪かった」と謝罪しながらも、創業家の力で無理やり金を引き出したんじゃないと言っているらしいが、それも真面目な社員が、バカぼっちゃん会長の機嫌をとろうと思ったのか、あるいは何も考えていなかったのかは分からないが、唯々諾々と言われるままに金を出したのだろう。だから、無理やりじゃないという言い方になるんじゃないかと思う。

 このような事態を真面目な社員が会社を潰すというのだ。自分では何も考えない。ただ言われるままに仕事をこなすこと、上司の指示に忠実に従うこと、それが役割だと思っている真面目社員はダメなのだ。

不真面目社員の効用

 アンデルセンの童話に「裸の王様」と言うのがある。王様が詐欺師に騙されて、見えない生地で作ったという服を着てパレードをする。真面目で忠実な部下たちは、王様が裸であるとも言えず、黙っている。そしてパレードが始まって、子供が「王様は裸だ」と叫ぶという話だ。