ここでは主人の怒りを恐れて、お金を土に埋めていた、くそ真面目な下僕は、まったく評価されていない。ひょっとしたら失敗したかもしれないが、リスクを負って預かったお金を増やした、言わば不真面目な二人の下僕が評価されている。

 主人は、預けたお金を増やせとも、なんとも言わずに旅に出た。そこで下僕は、自分で考え、二人は増やすことを決意し、リスクを負った。もう一人は、預けられたお金を減らさないことだけに腐心して、土に埋めた。

 あなたならどうする?

 きっと土に埋めた下僕になるのだろう。その方が真面目だと評価されると考えるからだ。もしも主人のお金を増やそうとして、無くしてしまったら責任を取らないといけない。そう考えると、何もしない方が得策だ。黙って嵐が吹き去るのをやり過ごそう。そう思うはずだ。

 私たちの国は、失われた20年とか言って、景気低迷と閉塞感に沈んでいる(あるいはそう思い込んでいる)。これは真面目な人間が多すぎるからではないか。自殺者も14年連続3万人以上というのも、真面目すぎる性癖にも原因があると思う。

三つの知識の違い

 ある中国人の経営者は、「逃げればいい」と言った。悪い経営者に仕えた時や、不正の指示を受けた時は、臆面もなく逃げればいいのだ。彼は、「自殺するよりマシ」とも言った。そうやって中国人は、何千年もの圧政に堪えて生き延びて来たのだ。

 またある経営者は、経営者や組織人の知識に三つの種類があると教えてくれた。

 一つは、knowledge、もう一つは、wisdom、もう一つは、intelligence。