Photo by Shinichi Yokoyama

世界一の事業を全部合わせると、連結売上高5184億円(2017年度)の約50%にも達する。ニッチな市場で高いシェアを握り、競合他社が羨む営業利益率14.4%(同)をたたき出すクラレ。創業以来、「他人(ひと)のやれないことをやる」という姿勢を崩さず、素材開発と製品加工が一体になった強みを生かして異彩を放つ。経営トップに勘所を聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

――この3月上旬、過去最大の約1200億円を投じた米国、これから約500億円を投じるタイで進行中だった2つの海外M&Aがクローズしました。

 たまたま時期が重なりましたが、どちらも数年越しの案件でした。

 今年1月より、新しい中期経営計画(18~20年度)が走り出している中で、結果的に大きく弾みを付けられました。実は、クラレでは前の前の中計(12~14年度)の時点から、「水、環境、エネルギー」を重点戦略領域として掲げてきましたが、具体的な中身が伴っていなかった。

 そこでまず、炭素材料事業は、17年1月に子会社のクラレケミカルを本社に吸収合併した。研究・開発体制も含めて、これまで以上に経営資源を投入し、事業体としての強化・拡充を図ろうと考えました。その上で、今回、クローズした米国のカルゴン・カーボンと一緒にして水処理分野などを強くし、世界の市場で戦えるようにする。これまで活性炭は、グループ内で見ればそれなりの規模感がありましたが、世界から見れば負けていたに等しかった。カルゴンは活性炭の世界最大手で、米ニューヨーク証券取引所に株式上場する企業だった(後に上場を廃止し、クラレの完全子会社となる)。