(1)~(5)まで5つの株式があり、5年間の利回りが次の表のとおりだったとします。その年ごとに絶好調だったり絶不調だったりと波の激しい「ジェットコースター型」の(1)から、どちらかというと安定している(5)まで、値動きの激しい順に株が並んでいます。

ふつうの人が「預金以外」にやっておくべき「いちばん低リスクで、いちばん手堅い投資」とは?

 表のいちばん右の数字は、標準偏差という数値ですが、それぞれの株のリスクを数値化したものだとお考えください。数値が大きいほど値動きの波が激しく、リスクが大きいということになります。

 このとき、(1)だけにすべての資金をつぎ込むと、リスクは当然、24.7%になります。ここでは、分散投資の効果を見ていただくために、どの株も最終的には年平均3.0%の利回りが出るように数値を調整してあります。しかし、この株は利回りのアップ&ダウンがかなり激しいので、資金をつぎ込んだ人からすれば、かなり心臓によくない状況が続くでしょう。

 このようなハイリスク投資では、大きな価格変動のプレッシャーに耐えられず、なかなか正常な意思決定ができなかったりもします。

 では、(1)と(2)に半分ずつの資金を入れる(ポートフォリオ1)と、どうなるでしょうか? 図にあるとおり、リスクは14.4%に低下しています。さらに大事なのは、このような分散投資をしても、最終的な利回りは年平均3.0%のままだということです。

 さらに、(1)~(3)に1/3ずつの比率で分散投資(ポートフォリオ2)すれば、リスクはさらに8.0%まで下がりますし、すべての株((1)~(5))を均等に購入した分散投資(ポートフォリオ4)では、利回りが3.0%のまま、リスクは5.4%まで下がりました。これは、株式(1)~(5)のうち最も低リスクの(5)よりも低い数字です。単に混ぜ合わせたことで、利回りはそのままに、リスクだけ下げられたことがわかりますね。