任された仕事もこなさないうちに「企画がやりたい」「SNSマーケティングをやりたい」と言い出す部下。その要望に安易に応えることが、実は部下の成長を最も妨げる――西原亮氏の著書『仕事ができる上司の当たり前』が断言する、上司が知るべき「やりたいこと」の本質とは。SNSでビジネススキルについて情報発信を行い、総フォロワー数が37万人を超える「にっしー社長」こと西原亮氏の著書、『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに、誰でも「しごでき」になれる令和の仕事の基本を解説する。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)

仕事ができる人は「いいね、やってみて」と言わない。ではどう言う?

「モチベーションを下げたくない」が、成長を止める

部下のやる気を尊重したい。
その思いは、上司として自然なものだ。

しかし、「いいね、じゃあ任せてみようか」と安易に許可することが、かえって部下の成長を妨げる。
目の前の業務に向き合う前に、次の仕事を求める――その習慣を黙認することは、部下に「義務を果たさなくても要求は通る」という誤ったメッセージを送ることになるからだ。

「やりたいこと」は、義務を果たした人だけの特権だ

部下が任せられた業務をやりもせずに、もっと企画の仕事がしたいSNSマーケティングをやりたいなどと言ってきたとき、あなたならどう返しますか?
部下のモチベーションを下げまいとして、安易にいいね、じゃあ任せてみようかと許可すると、かえって部下の成長を妨げることになります。
断言します。仕事において「やりたいこと」を選べるのは、目の前の義務を果たして信頼を勝ち取った人だけに許される「特権」です。

「やりたいこと」を自由に選べる人は、最初からそれを与えられたのではない。
与えられた仕事を誰よりも丁寧にこなし、信頼を積み上げた結果として、選択肢を手にしている。

その順番を飛ばすことは、どれだけ本人が望んでも、「実力より先に機会を与える」ことになる。
結果として、準備のできていない部下が難しい仕事に直面し、失敗し、自信を失う――という最悪のシナリオに向かっていく。

上司の役割は「機会を与えること」ではなく「順番を守らせること」

部下の「やりたい」という言葉の裏には、多くの場合、現状への不満や焦りが隠れている。
その感情を否定する必要はない。
しかし、その感情に流されて判断を誤ることは、上司の仕事ではない。

できる上司は、こう伝える。
その気持ちはわかる。だからこそ、今の仕事で結果を出してほしい。
「やりたいこと」への道は、目の前の仕事の中にある――そのことを、言葉と態度で示し続けることが、本当の育成だ。

部下の「やりたい」に応えたいなら、まず「今の仕事で信頼を勝ち取れ」と伝えることだけでいい。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)