さて、ここでお伝えしておきたいのが、純粋リスクとビジネスリスクの話です。
純粋リスクとは損失の可能性だけがあるリスクです。これは「保険」で対応すべきものです。
一方でリスクには、損失と利得のどちらの可能性も含んだビジネスリスクがあります。「株式投資にはリスクがつきもの」などと言う場合は、この種のリスクを指しています。トヨタ株を持っていれば、それは値上がりして利益をもたらしてくれるかもしれませんし、価格下落による損失もあり得ます。これがトヨタ株のビジネスリスクです。
ところで、このビジネスリスクは、(ちょっとややこしいのですが……)さらに2つのリスクから構成されています。
・市場リスク――市場全体に影響するリスク。マクロ的要素に起因する
・個別株リスク――その株独自のリスク。株式を発行する会社に起因する
市場リスクは、景気や金利の動向、政策、気候、災害などマクロな変化によるものですから、なかなか個人ではコントロールできません(じつは方法はありますが、それはまた後日にお話しします)。
一方、個別株のリスクを小さくすることは簡単にできます。それが分散投資という方法です。トヨタ株しか持っていない人は、その株価変動の影響をもろに受けてしまいますが、値動きの異なる株を持っておくと、それぞれの利益と損失が打ち消しあって平均化され、全体として変動の幅がなだらかになる効果があります。
ふだんの日常会話でも「リスク分散が大事だよ」などとよく言いますから、“1つだけ”よりも“いろいろ”のほうがリスクが小さくなるということは、なんとなく直感的にわかるのではないでしょうか。なお、こうした複数の資産の組み合わせを、ポートフォリオといいます。
いちばん安全に、いちばん手堅く稼ぐには?
分散投資の効果をより具体的にわかっていただくために、例を見てみましょう。