これが分散投資によるリスク分散のパワーです。現実の投資においては、それぞれの株の利回りは異なりますし、高利回りの株に低利回りの株を加えれば、リスクだけでなく利回りも低下します。しかし、それほど利回りを犠牲にせずに、リスクは小さくできることが、分散投資のポイントです。よくハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンと言いますが、分散投資によるリスク分散では、このルールは当てはまりません。ローリスク・まあまあリターンが実現できるので、利用しない手はないのです。

 「でも……どの銘柄とどの銘柄を組み合わせればいいかなんて、わかりませんよ!」

 ご安心ください! 結局、個別株リスクがいちばん小さくなるポートフォリオとは、市場にあるすべての株をその構成比率に応じて購入したもの(マーケット・ポートフォリオといいます)だということがわかっています。

 市場にあるすべての株をポートフォリオに加えていくと、それぞれの株が持っていた個別株リスクはすべて消えてなくなり、市場リスクだけが残るのです(なぜそうなるかは本書では説明しませんが、どうしても気になる方はファイナンス理論の教科書をご覧いただければと思います)。

 しかしながら、もし市場内のすべての現物株式をその発行比率に応じて購入するとなると、莫大な費用が必要になります。日経平均に含まれる225銘柄を購入するだけでも、手間や手続きにかかる時間は相当なものになるでしょう。

 ここで出番となるのが、市場のすべての株を等しくポートフォリオに組み込むことを可能にしたインデックス投信です。

ふつうの人が「預金以外」にやっておくべき「いちばん低リスクで、いちばん手堅い投資」とは?