毎度の田舎芝居か――。
消費税率引き上げを巡る動き

 消費税率引き上げを巡る動きが大詰めを迎えている。

 与党・民主党の中で意思統一が難航する中、ここまでのところ、岡田克也副総理が自民党に大連立を持ちかけたことが後から明るみに出て、民主党内の反発を買ったり、前原誠司民主党政調会長が政府の閣議決定の前提となると目される党内の取りまとめに手間取ったりするなど、消費税率を引き上げるための振り付けを考える立場から見ると、相変わらず、「役者の出来が悪い」と言いたくなる展開だ。しかし、彼らに関しては、毎度おなじみのことなので、脚本家にとって現状は想定内だろう。

「大連立」という枠組みは、政治的選択肢としてあり得ないことではないが、これを「今」もちかけて、それが露見するというタイミングの悪さは、いかにも岡田氏らしいところだ。

 筆者の思うに、政治家としての岡田氏の際だった特徴は、よく「原理主義(者)」などと言われる原理原則へのこだわりよりも、「時が読めない」ことではないのか。

 振り返ると、政権交代後、彼は外相にも幹事長にも、解決しがたい問題を抱える最悪のタイミングで就任した。彼に、菅直人氏並みのずるさがあれば(ないから今の岡田氏なのだが)、すでに首相の座に就いていたことだろう。

 一方、前原氏が自分の手に負えない問題で見得を切るのは毎度のことで、見慣れたストーリー展開だ。八ッ場ダム然り、JALも然り。今回の消費税率引き上げの法案を巡る与党内の検討で、彼は、税率引き上げに関する前提条件に関して、一方で「数値を条件にすることは絶対ダメだ」と言い、他方で「何らかの担保を政府に課すことも大事だ」と矛盾したことを言っている。