前回の本欄で、私は、「岡田克也副総理は大連立に反対する」と精一杯の願望を込めて書いた。

 その矢先、岡田氏が自民党に大連立を持ちかけていたという報道があった。

 それが事実なら、岡田氏は私が考えていた人物とはかなり違っていることになる。彼の二大政党論や政権交代論も、原理主義どころか単なる政治的方便に過ぎなくなってしまうからだ。

最終的には「再増税条項の削除」で決着か
増税に突き進む野田首相の“筋書き”

 さて、問題の消費税増税法案は、3月14日から民主党の事前審査にかけられている。

 今のところ(20日現在)議論百出で、決着が先送りされているが、これも想定内であろう。

 議論の争点も、予想通り「再増税条項」と「景気条項」の2つにしぼられてきた。

 結局最後は、昨年末の“素案”決定のときと同じように野田佳彦首相が党の会議に乗り込んで反対派の矢面に立つ筋書きかもしれない。そして、不退転の決意をあらためて示し、最終的に妥協の英断によって決着を企てるということではないか。それまでも小出しの譲歩が積み重ねられるだろう。大きな妥協をしなくて済めばそれに越したことはない。

 小出しの妥協の第1弾として「再増税条項」の修正案が出てきた。「16年度をめどに必要な法制上の措置を講ずる」を「公布から5年後をめど」に変更するという。表現は違っているが内容に大差はない。これで反対派が引き下がるはずはない。ただ、これで修正への努力をしている印象を与えようということだろう。

 首相の最終的な英断は、「再増税条項」の削除ということになる。この条項は法案に必要不可欠なものではない。端的に言えば、削除するために設けた条項と言ってもよい。削除に至らなかったら儲け物と思っているに違いない。

 しかし、この条項の削除によって反対派が納得するだろうか。とてもそうは思わない。もしも、これで決着するとしたら、反対してきた民主党議員は選挙区に帰れなくなる。

 もう1つの「景気条項」の修正も困難だ。これには財務省は本気で抵抗してくるだろう。