株式市場の暴落からの示唆

 今年の2月の初めに株式市場に大きな混乱が生じたのは皆さんのご記憶に新しいと思います。米国雇用統計で賃金上昇率が8年ぶりの高い伸びを示したことから、インフレ・リスクが高まり、それを受けて利上げペースが早まるとの懸念から、米国長期金利が上昇し、株価下落のきっかけとなりました。従来から投資を実践していたベテランのオヤジたちは、「こんなこともあるさ」と冷静さを保てたかもしれません。一方、つみたてNISAやiDeCoで最近投資を始めたばかりのオヤジたちは、これまで株式市場が好調な時期しか経験したことがないため、今回のイベントで初めて投資の怖さを実感されたのではないでしょうか?

 自分で資産運用を始めるまでは、ニュースの中の世界でしかなかった株式市場の暴落が、自分の資産にも大きな影響をおよぼすことを体験してしまったので、怖くて投資から逃げ出したくなった人もいるかもしれません。でもこんなときこそ、歯を食いしばって我慢することが大切なのです。なぜかと言えば、怖くなって逃げ出した場合、少し長い目線で見ると逃げなかった場合よりも悪い結果となってしまう可能性があるからです。

怖くなって逃げた代償

 市場の大きな混乱時に怖くなって、株価が大幅に下がったところで投資をやめると、下落から被った大きなマイナスを損失として確定することになります。もちろん、この後さらに大きく下がると考えているのであればそれもアリかもしれませんが、一般的には市場は上昇方向にも下落方向にも過剰に反応しやすいため、今回のような混乱時での売却は必要以上に大きく下落したタイミングでの売却となる可能性があります。また、過剰反応であるからこそ、市場は程なくして回復することが多いのですが、一度売却してしまうと、その市場の回復によるリターンを獲得することもできなくなります。