「合併がベストの選択だとは考えていない」──。仏ルノー、日産自動車、三菱自動車の3社連合を率いるカルロス・ゴーン氏は日本滞在中の先週、周辺にそう語ったという。
ゴーン氏の発言の背景には、ルノーと日産の統合新会社設立や合併論がメディアで盛んに取り沙汰されていることがある。「資本関係の見直し検討」とも報じられたが、ある幹部は「ゴーン氏は『あらゆる選択肢がある』と述べているだけで、合併ありきではない。従来通り各社の独立を維持しつつ、機能統合によるシナジーなどのメリットを享受し合いながら2022年の連合全体の目標を達成することが最優先だ」と、ゴーン氏の心の内を代弁する。
しかし仏政府による合併圧力は強まっているようだ。
日産は経営危機に陥った1999年にルノーの支援を受け、現在はルノーが日産に43.4%出資し、一方で日産もルノーに15%出資して株式を持ち合う関係にある。そしてルノー株の15%を握る仏政府は、これまでルノーを介して日産の経営に介入することを画策し続けてきた。
14年には株式を2年以上持つ株主に2倍の議決権を与えるフロランジュ法を制定。仏政府は一時、ルノーへの持ち株比率を引き上げて日産との合併を迫ったが、ゴーン氏はこれを拒み続けた。