「ワンニャン健康管理サービス」。日々のペットの健康状態を記録し蓄積することで、ペットの健康管理を簡単に行なえるトライアル向けのサイトだ。

 依然として続くペットブーム。ペットフード協会によると、全国の犬と猫を合わせた飼育頭数は2154万2000頭(2011年10月時点の推計)で、国内の15歳未満の人口推計1671万3000人(同9月1日時点の確定値)より約500万頭も多い。人間並みのサービスをペットに対しても求める傾向はますます高まり、それに伴い、ペットビジネスも進化している。

 現在、NTT西日本、NTTメディアサプライ、チェリッシュライフジャパンが共同で、ペット(犬・猫)の健康管理と医療相談を連携させたトライアルを実施している(3月1日~6月30日)。

 トライアルで用意された環境は2つだ。1つ目は、日々のペットの健康状態(体重・体温・食事・投薬etc.)や写真を記録・蓄積することで、ペットの健康管理ができる「ワンニャン健康管理サービス」。2つ目は、24時間365日いつでも獣医師に医療相談ができる「Anicli24(アニクリ24)電話医療相談サービス」だ。

 これら2つを連携させ、獣医師が利用者(飼い主)の記録した健康情報や写真を閲覧しながら、より的確な医療アドバイスをすることができるシステムになっている。3社は、トライアル期間中実際にサイトを運用しながら、利用者アンケートなどでニーズを確認し、技術面やサービスの受容性について検証を行なう。

 この取り組みで注目したいのは、「ペット医療の地域間格差・時間的格差の補完」と「予防医療の更なる発展」(トライアル概要より)を実現しようとしている点だ。

 動物病院はすでに飽和状態にあると言われているが、地域によって偏りがあるのが現状だ。さらに、夜間や救急診療となると病院数は限られる。そんな中、いつでも電話相談ができるという選択肢を持っているかいないかでは大きな差があるのではないだろうか。そこが最終的な治療の場にならないにしても、たとえば一刻を争う応急処置の段階で役立てられることもあるだろう。気兼ねなくセカンドオピニオンを求める手段にもなり得る。

 予防医療の観点から話そう。室内犬の増加や、ペットフードの高品質化、医療技術の進歩などによって、ペットも“超高齢化”している。介護を必要とするケースも多い。病気にさせないため、元気に長生きしてもらうために必要なのがペットの予防医療だ。犬のアンチエイジングトレーニングなるものまで登場している。忘れがちになってしまう健康管理を続けやすく、獣医師との連携に近い環境でできるこのサービスは、とても理に適っている。

 人間社会にあるたいていのサービス(ビジネス)は、ペット用に置き換えられる。すでにそんな時代になっているのかもしれない。実際、ペット保険やペット葬儀サービス、ペット保育園など、着実に市民権を得ているものも多い。

 しかし、新たなニーズがある場所には思いがけないトラブルが潜んでいることもある。たとえば、「ペット葬儀(火葬)詐欺」などがショッキングなニュースとして記憶に新しい。ペットのために、ペットと共に快適に暮らすために、本当に必要なサービスは何なのか。私たちは慎重に、賢く見極めなければならない。

(おおたゆうこ/5時から作家塾(R)