そのため、Aさんだけが自分のスキルアップや、将来の展望を描く資料を提出しては、「平等とは言えない」と判断したのでしょう。しかし、それはあくまで形式上のことであって、しかもK課長の価値観による平等です。

 そもそも、ビジネスシーンにおける「平等」とはどのようなものなのでしょうか。個人のモチベーションや、キャリアプランに対する考えには違いがあって当然のこと。その違いを無視して、「資料提出の有無」という形式だけにこだわった点に間違いがあったのではないでしょうか。

 では、どうすれば本当の意味での「平等」を実現することができたのでしょうか。

部下に嫌われたくない
管理職がはまる「中央化傾向」

 産業カウンセラーが組織の問題と対峙 するとき、管理職の方には、人事評価制度の注意点の一つである「中央化傾向」に注意するようアドバイスします。

 中央化傾向とは、人事考課において、部下に「差」を付けず、全員同じような評価をすることです。これは、評価者の「誰にも嫌われたくない」という心理や、「評価するための材料が少なく、評価に自信がない」といった思いがあります。

 しかし、管理職が中央化傾向にはまってしまうと、能力が高い部下は「努力が報われない」と感じ、仕事に対するモチベーションが低下してしまうのです。

 これらの点を考えると、K課長は、人材育成に関する知識が足りていなかったようです。