無意識に行動する上司
上司の挙動を漏らさず観察している女性部下
以前、女性部下からこんな風にお願いされたことがあります。
「なんで、私だけ名字で呼ぶんですか? ほかのみんなみたいに、下の名前で呼んでください!」
自分ではまったく意識していなかっただけに、女性の観察力や感受性の鋭さに舌を巻きました。
また、部下を叱っていると、男性部下はパソコン画面を見つめたままなのに対し、女性部下の周辺からは「あんな言い方ないよね」といった声が、ザワザワと聞こえてきます。
あるいは、ある女性部下が私の下について仕事を行い、成功を納めたとき、何となく私が「ああ、コイツとは仕事がしやすいな」と感じていると、この雰囲気を察知して「なんであの子ばっかりえこひいきするの?」と言い始めるのは、決まって女性部下でした。
よく、男性脳と女性脳の違いとして語られるのが、ニュースを見たとき、報道されている内容を記憶するのが男性、ニュースを記憶しながら、一緒にスーツやネクタイの色柄などもチェックするのが女性、というエピソードです。「その通りだな」と大きく頷く男性上司は多いのではないでしょうか。
目の前のことに1点集中する男性に比べ、女性は仕事をしながらでも、部下の叱り方、褒め方、仕事の頼み方といった、上司の挙動を知らず知らずのうちにチェックできてしまうのです。それだけに、女性部下たちは上司の言動から、「不平等感」のニオイを嗅ぎ取ると、とたんにモチベーションを低下させたり、上司が考えを聞いても「どうせ私が何を言っても無駄なんでしょ」と斜に構えたりと、コミュニケーションをとるのが難しくなってしまうという弊害が生じてしまいます。
【女性社員のトリセツ】
「全員に等しく愛情が注がれている」と
女性部下が感じるコミュニケーションを
女性部下は、上司が考える以上に上司の一挙手一投足を見ています。上司は1対1のコミュニケーションをしているつもりでも、実際には1対女性部下全員だったりするのです。
女性部下から「この上司はえこひいきをしない」「平等だ」と信頼を勝ち取るには、コミュニケーションのスタイルをタイプごとに変えていく必要はあるものの、すべての女性部下が「同じだけの愛情が注がれている」と感じられることが大前提となります。