「リスク」という言葉には
「収益のブレ」と「危険性」がある
初心者向けの投資の教科書を見ると、どれを読んでもほとんど「株式は債券よりもハイリスクハイリターンである」と書いてある。この表現は必ずしも間違っているわけではないが、だからといって「債券の方が株よりも安全」とは必ずしも言い切れるわけではない。そこで、今回は「債券投資のリスク」について考えてみたい。
債券は、国、地方自治体、そして企業や団体が発行するものであり、株式が「出資証明書」であるとすれば、債券は「借用証書」と言っていいだろう。株式と異なり、借入金であるため、「償還」と言われる満期が決まっている。
そして、一部の例外を除けば、金利もあらかじめ決められており、償還までは一定の利息が支払われ、償還日には元金が戻ってくるため、一見すると定期預金と似た仕組みのように見える。株式には償還はないし、日々価格が変動していることは誰でも分かるので、それに比べると「リスクが低い」と考えるのは当然だ。
そもそも、「リスク」という言葉には、「収益のブレ」と「危険性」という二つの意味があり、しばしばこの二つの意味は混同されて使われている。普通、資産運用の世界で「リスク」と言えば、「結果の不確実性」、すなわち「収益のブレ」と解釈するのが一般的だ。