サッカー協会の対応は最悪
ハリル氏は不信感を募らせて当然だ

「解任予告などをしたら、コミュニケーションや信頼関係が崩れるのではないか」などと思いがちだが、突然の通告の方がよほど問題だ。ハリル氏からすれば、自分は何も知らされず、水面下でコトが動いていたということ自体が、不誠実で、信頼関係を崩壊させる行為だと思ったに違いない。

 ハリル氏に対して、さんざん「日本サッカー協会は不誠実だ」と思わせるような言動をしておいて、「契約書にあることをしっかりと履行することが誠意ある対応」と言い切るのもズレている。確かに、契約書の内容を履行すれば法律的な問題はないかもしれない。しかし、ハリル氏側からすれば「法的に問題がなければいいでしょう」と言われたようなものだ。これは、相手の気持ちを逆なでするものでしかない。

 コミュニケーションや信頼関係を解任理由に挙げているのであればなおさら、日本サッカー協会がハリル氏本人に対して、段階的に十分なコミュニケーションを取るべきだった。

 それをしないままの一方的な解任通告は、「選手の言い分は聞くけれども、監督の言い分は聞かない」という姿勢にも見える。これは、マネジメント階層を飛び越えた、極めて不適切なコミュニケーションの仕方である。例えば、部長が、一般社員の言い分だけを聞いて課長を飛ばしたりしたら、信頼関係は築けないし、組織として機能しない。

 田嶋会長が指摘したように、実際にハリル氏と選手の間には、コミュニケーションや信頼関係が薄れていたのかもしれない。しかし、サッカー協会のトンデモな対応によって、日本サッカー協会とハリル氏の間の信頼関係も瓦解した。

 一般企業とプロスポーツの世界は大きく違うが、人間同士の信頼関係という意味では、共通する点も多いはず。ハリル氏解任劇は、企業の人事部も学ぶべき「失敗例」である。