入学に入社、引っ越しなど、なにかとお金のかかる新年度。サラリーマンや学生にとって、嬉しい競争が再開しそうだ。一度は収束するかに思えた牛丼値引き合戦の火ぶたが、再び切って落とされそうなのだ。
牛丼の「すき家」と「なか卯」を展開するゼンショーは、6日から牛丼の値引きキャンペーンを開始することを決めた。近く発表する。
対象となるのは、すき家となか卯、2273店で、これは日本の牛丼店全体の半分以上にも上る。期間は6日からで、すき家は15日まで、なか卯は19日まで。
気になる価格は、すき家で全品30円引きで、牛丼並盛りなら280円から250円になる。なか卯はミニサイズをのぞき牛丼が40円引きとなる。
すでに吉野家は4日から10日まで、牛丼の110円引きを開始すると発表していた。吉野家の並盛りの定価は380円だから、期間中は270円に下がる。
つまり、すき家の値引きは吉野家のキャンペーン価格よりもさらに20円安く、期間も長いことになる。
注目される松屋の動向
「値下げしない」と明言
「牛丼の価格競争は終わった」――。外食業界関係者の多くは、そう考えていた。というのも、2010年から始まった、牛丼の値下げキャンペーン乱発は、もはや効果が薄れてきたと見られていたからだ。
振り返れば09年まで、牛丼各社の大幅な値下げキャンペーンは、4月と9月の2回に過ぎなかったが、競争激化でこの2年間は、年に6~7回にまで増加。開始当初は、既存店の売上高が100%を超えることも多く、すき家、吉野家、松屋の大手3社が、ほぼ同じ時期に牛丼の価格を下げて競い合うのが定着しつつあった。
ところが、11年後半、12年初頭になってくると、値下げキャンペーンを実施しても、客数が前年比を下回る月が目立つようになってきた。