財務省がこうした不祥事に手を染めた背景には、「安倍一強」と呼ばれるほど強い内閣があり、官邸が「内閣人事局」を使って人事権に嘴を挟むなど、その影響力が強大だったことが挙げられる。そのため官僚たちは、過度な“忖度”をせざるを得なくなってしまったのだ。霞が関で凋落の一途をたどっていた財務省はなおさらだった。

組織を分割しても
いずれ財務省は復活する

 とはいえ、仮に財務省に責任を取らせる形で組織を分割し、歳入庁構想を実現させたところで、最終的には金融庁同様、財務省の分局的な存在になるだろうと筆者は見ている。財務省は一定期間、“喪”に服さざるを得ないが、いずれ復活すると見られるからだ。下手をすると、歳入庁がその足がかりになる可能性だってある。

 金融庁発足時、旧大蔵官僚と日本銀行との間で主導権争いが起きた。それは、金融庁側に「捨て置かれた」旧大蔵官僚たちの本省への恨みと嫉妬が絡み合い、何年もの間、尾を引いたが、結局、2代目から9代目である現在の森信親長官に至るまで、長官職は財務官僚の“定石ポジション”となった。その後、「見捨てられた」と感じていた幹部クラスにも財務省に戻る道筋ができ、今では単なる人事異動先の一つとなっている。

 こうした前例や、霞が関内ではたらく力学などを考慮すると、歳入庁の創設は、むしろ財務省、中でも主計局の焼け太りにつながるのではないかというのが筆者の意見だ。

 国税庁は、実質、財務省の下部組織のようなもの。国税庁に国家I種試験を通って入庁しても、「国税庁キャリア」と呼ばれ、財務省本省キャリアからは1段も2段も低く扱われる。また、主要な幹部ポストは、概ね本省からの出向者で占められている。

 歳入庁ができれば、社会保険関係は厚生労働省が、生活保護や健康保険などは厚労省と総務省が所管省庁のため、厚労省と総務省からそれぞれの分野が切り取られる形で、国税庁と合併する形になるだろう。