筆者は昨年夏、アメリカでトヨタ自動車の主力セダン「カムリ」の広報車両を借り受けた。クルマを引き取って日本との違いにまず驚いたのが、広報車両にカーナビが未装備であること。トヨタノースアメリカの現地スタッフに聞いたところ、みんなスマホのGPS機能を使った地図アプリを使うので、Bluetoothを使ってスマホのナビ画面を表示させるディスプレイがついていれば十分と判断しているとのことだった。

アメリカでは
徹底的に“実用”に基づいて発展

 アメリカでは都合、5000km強のドライブであったが、サンフランシスコとワイオミング州中部のドライブでは友人にポータブルナビを借りた。これまた驚いたことに、そのポータブルナビはインターネットに常時接続しており、ユーザー同士がパトカーの目撃情報や張り込み情報を簡単に共有することができるのだ。このようなやりとりはスマホナビでも行われているという。徹底的に“実用”に基づいた発展の仕方である。

 ここにきて日本でもスマホナビを使う人の割合が増えつつあるが、ビルトインカーナビの需要は根強い。また、現状ではビルトイン型にすることによる技術的なメリットも結構ある。日本の自動車業界が「カーナビを使ったコネクテッドで存在感を示せるのではないか」という期待感を抱くのも無理からぬところではある。

 もっとも、開発リソースには限界というものがある。日本車のスマートフォン連動型車載情報システムの性能は、お世辞にも高水準とは言えない。目先の利益率の高さを求めて高価なカーナビに固執するのではなく、そろそろもっと視野の広いインフォテイメントシステムのあり方を冷静に考察すべき時期が来ているように思える。

 できれば、現在世界の自動車メーカーが戦々恐々としているインターネットサービスプラットフォーム企業と、いい形でシナジーを生めるようなビジネスモデルを真っ先に考案し、それらの企業をうまく取り込むくらいの巧みな戦略を見せてもらいたいところだ。日本市場におけるスマホナビの伸長をそのきっかけにできれば、それこそ災い転じて福となすというべきものだろう。