私たちの生活になくてはならない、スマホやパソコンなどのデジタル機器。その利便性はいうまでもないが、こうしたデジタル機器の使いすぎが招く「デジタルライフ疲労」が深刻化しているという。(清談社 真島加代)
体に加えて精神もむしばむ
デジタルライフ疲労とは
ビジネスパーソンの生活の中心にある、スマートフォン(以下、スマホ)やパソコンなどのデジタル機器。その一方で、デジタル機器の長時間利用が元となり、慢性的な疲れを招く「デジタルライフ疲労」が注目を集めている。
2017年に20~50代の男女930人を対象に実施された「デジタルライフ疲労の実態調査」によると、「8時間以上スマホを使用している」と答えた人のうち、76.7%が「疲れがなかなかとれない」と回答。同様に、スマホを長時間使用している人のうち51.6%は「気分が落ち込みやすい」と答え、精神的な疲れを感じていることがわかった。
「同調査では、デジタル機器の長時間利用と心身の疲労のつながりが明らかになりました。デジタル機器のなかでも、長時間に及ぶスマホの利用が、身体的、精神的にも疲労を招いているのです」
そう話すのは、杏林大学名誉教授の精神科医・古賀良彦氏。8時間以上というのは少々驚きの数字だが、歩きスマホの多さや電車内でのスマホ利用者を見ると、そう珍しい話でもないのかもしれない。
「デジタルライフ疲労とは、さまざまな側面で“疲れ”を感じる症状を指します。疲れと聞くと、通常は肩こりなどの身体的な疲れをイメージしますが、デジタルライフ疲労の場合は、体の疲労だけでなく、精神面でも疲れを感じるという特徴があります」(古賀氏、以下同)
体の疲れは、重い肩こりや眼精疲労をはじめ、若い女性には自律神経の乱れなども多いとのこと。また、睡眠中に何度も目が覚めるのも、デジタルライフ疲労の特徴だ。
「精神的な疲れは40~50代の男性に出やすく、仕事への意欲の低下や、コミュニケーション能力の低下、他者への興味がなくなるなど、社会性を損なう傾向があります。精神的な疲れは、働き盛りの男性にとって大きな問題となるのです」
そのほか、十分眠ったはずなのに体がダルい、イライラすることが増えたなどの症状も、デジタルライフ疲労が引き起こす症状だ。スマホの使いすぎで体に異変が起きるばかりか、精神的にも疲れて社会性が損なわれるとは意外だ。