セクハラで福田淳一氏が、森友問題で佐川宣寿氏が自認した財務省に見る、事務次官の存在意義とは。
財務事務次官と国税庁長官のツートップが不在という異例の事態に陥った財務省。ところがそんな状況でも、役所は回っていくものだ。省庁の事務次官級の仕事とは、本当に必要なものなのか

日本の次官は1~2年で交代
「実質名誉職」とは何か?

 女性記者へのセクハラ疑惑で福田淳一氏が、森友学園問題で佐川宣寿氏が辞任し、財務事務次官と国税庁長官の「財務省ツートップ」が不在という、異例の事態が生じている。それぞれの省庁の官房長と次長が、事務次官級の業務を代行している状況だ。「それでも組織は回るのか」と聞かれれば、答えは「イエス」である。なぜなら、府省庁の次官や長官などは、実質的には名誉職だからだ。

 2014年、幹部公務員の一元管理や内閣人事局の設置などを盛り込んだ国家公務員法などの改正がなされたが、府省の事務レベルのトップである次官の役割や責任を定義し直す改革は行われなかった。本稿では、諸外国の仕組みなども交えて、日本の次官や組織運営に関する問題を論じる。

 日本では次官は名誉職と述べたが、その証拠に、次官の在職期間は通常2年に満たない。政治任用を採用している国を除き、主要国で次官が1、2年で交代する国は聞いたことがない。

 第二次世界大戦後、先日辞職した福田次官まで、財務次官は54人いるが、2年以上勤めた次官は16人であり、平均在職期間は1.4年である。平成に入ってからは24人いるが、2年以上勤めた次官はたった3人である。

 一方、経済産業次官は平成に入り15人いるが、2年務めた次官は12人。同様に、文部科学次官は平成に入り17人いるが、2年勤めた次官は9人いる。経済産業次官の平均在職期間は財務次官と比べればやや長いとはいえ、いずれにせよ、府省の次官の在職期間は1~2年に過ぎない。社長が毎年、あるいは1年おきに交代する会社など、市場で存続できるだろうか。

 なぜ、次官の在職期間は短いのか。霞が関では、国家公務員試験総合職試験に合格して府省に採用された公務員は、一般に「キャリア」と呼ばれて、出世の階段を昇っていく。それは、入省の同期(府省により異なるが10~25人程度)の中での競争である。局長などの幹部ポストは限られているため、同期の中でそうしたポストに就く者は一握りとなる。

 出世競争に敗れた者は早期退職して「再就職」する(しばしば天下りと批判される)一方、各入省期で1人が次官まで上り詰める。次官を出せない期もあるが、基本的には次官は各入省期の順番である。