もう一社、宇宙の鉱物資源の採掘に乗り出している企業があります。アメリカのディープスペース・インダストリーズです。太陽系の小惑星から、鉱物などの資源を採集する構想を立てている、アメリカの宇宙資源利用ベンチャーです。
私はアメリカの宇宙ベンチャーが集まっている業界団体「スペース・フロンティア・ファンデーション」に所属しているのですが、この財団を立ち上げたリック・ティムルンソンが設立しました。ティムルンソンは革新的な手法で商業宇宙開発を進めるこの財団以外にも、宇宙服の会社などの起業に携わっているビジョナリーです。
一方、惑星に貴重な鉱物がたくさんあるようなら、惑星自体を引き寄せて、地球近くの軌道に搬送して、スペースコロニーなどに着岸させるという構想もあるようです。
地球上では価値の高い金やプラチナが、多くの小惑星にたくさんあるのではないかと言われています。もし、それを採集して大量に持ち帰ることができれば、大きなビジネスになるかもしれません。
しかし、単に鉱物を地球に持ち帰るのではなく、宇宙で使用することが想定されています。地球との輸送費が高くつくからです。例えば、鉱物を燃料に変えて宇宙燃料ステーションに貯蔵、そこで燃料を補給して深宇宙に向かうというものです。
いずれにしても近い将来、宇宙機を使って太陽系の鉱物を探索することは実現するでしょう。
プラネタリー・リソーシズの共同創設者、エリック・アンダーソンは、「小惑星は手の届くところにある太陽系の果実。小惑星に向かうのも、そこから帰ってくるのもそれほど難しくはない」と語っています。
2015年11月に、アメリカで民間による小惑星の資源採掘や利用を認める法律が成立しました。この2社が実際に小惑星の資源採掘ビジネスを始めることが、法律上でも可能になっているのです。