スペースXのイーロン・マスク、アマゾンのジェフ・ベゾスなど、ITの巨人たちが宇宙に巨額の投資をしている。そんななか、忘れてならないのがマーク・ザッカーバーグCEO率いるフェイスブックだ。地球上で4割の人しかインターネットを使えていないことに目を向けた同社が狙うのは?清水建設宇宙開発室、JAXA出身の宇宙ビジネスコンサルタント・大貫美鈴氏の新刊『宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』から、内容の一部を特別公開する。

フェイスブックが狙う40億人市場のポテンシャル
人工衛星とドローンで集める驚きのインフラ計画

 宇宙ビジネスに力を入れているITプレーヤーといえば、もうひとつ、フェイスブックがあります。マーク・ザッカーバーグが、ハーバード大学在学中の2004年に立ち上げた、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を展開している企業です。

 世界で17億人を超えるアクティブユーザーを持つ、世界最大のSNS企業。SNSといえば、人と人がつながっていくものですが、宇宙におけるフェイスブックの取り組みも、まさに「つなげる」という点にあります。

 無人で遠隔操作や自動制御によって飛行できるドローンを飛ばして、インターネットがつながっていない地域にもインターネットを届けようとしている他、衛星通信を活用したインターネット接続にも注力し始めています。そして、インターネットのインフラ普及への取り組みとして、宇宙ビジネスに参入してきました。

 フェイスブックは2013年8月、半導体大手のクアルコム、スマートフォン製造大手のサムスン電子、通信機器大手のノキアやエリクソンとともに、非営利団体「Internet. org」を立ち上げました。

 この団体が目指すのは、世界のインターネット普及促進。ザッカーバーグCEOは、インターネットインフラが十分ではない人々は、地球上に40億人いると語り、そうした人々を対象として、長期的な問題解決を行おうという考えのもとでつくられました。

 そして翌年、「Internet.org」の取り組みとして、フェイスブック社内に「コネクティビティー・ラボ」というチームが立ち上がります。これは、衛星やドローンを活用してインターネット接続を実現するための研究チームで、NASA出身のメンバーなども参画しています。

 2015年7月には、そこから「アキラ」という名のインターネット接続計画を発表します。高度1万8000メートルを最大6か月間飛行可能なドローンを使い、インターネット接続を実現させるというものです。

 この時期、フェイスブックは、有名なドローンメーカーであるタイタン・エアロスペースの買収を試みています。高度約2万メートルを5年間飛行し続けることが可能なドローンを開発していました。

 フェイスブックはどうしてもこの技術が欲しかったのですが、結果としてこの会社を買収したのはグーグルでした。宇宙からのネット網の奪い合いは、すでにこの頃から始まっていました。