自分が好きな仕事なら、
大変な事態が起きても苦にならなくなる

 そもそも、なぜ会社が売り上げをあげ、従業員が給料をもらえるのかといえば、何らかの形で世の中に貢献しているからです。したがって「自分は何で貢献できるのか」という軸を持って仕事を考えるのはキャリアの正攻法だと思います。

 もちろんやりたいことが明確にあり、その機会をつかめている人は、そのまま自分の道を進んでいくとよいでしょう。しかしそうではない迷える子羊は、まず「貢献できること」という軸からアプローチしていくと、その先に自分が本当にやりたいことが姿を現してきたりします。

 実際、私自身もそうでした。新卒でリクルートに入社して採用の仕事に配属され、2~3年で会社にしっかり貢献できるようになりましたが、その時点では採用が自分のやりたい仕事であるという意識はありませんでした。

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 その後、独立して最初のうちは人材紹介の仕事に加え、ボタンを押したら一瞬で出来たてのカレーが出てくる自動販売機の営業をしたり、不純物を99.9999%取り除く浄水器を売ったりといろいろな事業をやりました。手当たり次第、そのときの自分ができることに手を出したのです。

 結局、どんな事業をやっても大変な事態が必ず起こるのですが、そのときの自分の感じ方には違いがありました。人材紹介の仕事で大変なことが起きてもあまり大変とは感じないのですが、ほかの事業では非常に大変だと感じたのです。

 会社経営でも人に関する苦労はかなりしていますが、自分が好きな分野なので苦にはなりません。一方でお金に関する苦労はかなりつらく感じます。人に関する苦労で眠れなくなることはありませんが、お金に関する苦労では眠れなくなるという具合です。

 そういう経験の中から「やっぱり自分は人材に関する仕事が好きなのだ」と自覚するようになりました。

 多くの人の場合、やりたいことは仕事を通じて世の中と接するうちに、初めて理解したり発見したりするものです。なので、「やりたいこと探し」の旅に出るよりも、まずは目の前の仕事に没頭し、「貢献できること」を探っていくのをお勧めします。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)