東京電力ホールディングス(HD)の小売事業会社である東電エナジーパートナー(EP)が、ベンチャー企業に出資するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を設立した。
このCVCは優れたアイデアや先端技術を持つベンチャーへ、2020年までに総額8億円を投資する。家族の見守りや家事代行といった暮らしに役立つ新商品やサービスの開発を後押しし、東電EPのビジネスに生かすのが狙いだ。
ところが、このCVC設立には社内外から批判の声が漏れ伝わる。
まず、「100発撃って2、3発当たればいい」というベンチャーの“目利き”ができるのか、という疑問だ。というのも、CVCが投資するベンチャーの選定は、“目利き”の経験が浅い東電生え抜きの社員を中心に行うからだ。
次に、東電HDがベンチャーに出資できるほど、金に余裕があるのかということだ。
東電HDは東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故で、巨額の賠償・廃炉・除染費用を負担している。その額は少なくとも16兆円に上る。
東電HDはこれまでに政府が出資する原子力損害賠償・廃炉等支援機構から7兆円を超える資金注入を受け、今のところは実質的に巨額の費用を立て替えてもらっている。東電がどぶに捨てていい金は一銭もないはずなのだ。