東京電力ホールディングスと中部電力の燃料・火力発電部門の合弁会社ジェラが、業績予想を下方修正した上、再生可能エネルギーへのシフトを余儀なくされたことが、親会社を巻き込んだ新たな火種となりつつある。
ジェラは3月末、2025年度の海外発電事業と、発電燃料である石炭や液化天然ガスの調達事業から得られる純利益を、当初計画の2200億円から1400億円に修正。さらに、30年度に達成する予定だった国内外での再エネの発電規模300万キロワットを、25年度に前倒しする計画を新たにぶち上げた。現時点での同社の再エネ規模は40万キロワットだから、7年で7.5倍に拡大する、野心的な再エネシフトだ。
背景にあるのは、世界的な「脱火力発電」である。15年末のパリ協定をきっかけに、世界中で温室効果ガスを排出する火力発電からの脱却が加速。ジェラもその流れに沿った格好だ。
何といっても、同社の主力は火力発電事業だ。それを前面に出す事業計画を掲げていたジェラに対して、かねて市場関係者から、「世界で再エネシフトが進んでいることを理解しているのか」という疑問の声が上がっていたが、今回の修正はそれに応える形となった。
だが、この再エネシフトは、素直に評価することはできない。
というのも、親会社の東電は2月、唐突に再エネに力を入れる方針を発表。主に海外市場を視野に入れている。さらに同社は再エネの開発・運営会社、ユーラスエナジーホールディングスに40%出資している。