拠点統廃合の決断が焦点

「JMU株については売却の検討もしなきゃいけない」。収益拡大のために事業の選択と集中を進め、身を削っている最中だけに、IHIの経営陣は異口同音にこう語るようになっている。

 ただ、「手離すのは今じゃない」と付け足すのも忘れない。というのもIHIは、JMUが建造するLNG船向けのタンクの納品を遅延しており、LNG船に関してはJMUに迷惑を掛けた“負い目”がある。何より、この大赤字の局面で株の売却に動いたところで、うまく売れるはずがない。

「これまでJMUの経営はJMUが自己管理して進めてきたが、今後はわれわれ株主も一緒になって進めていく」(満岡社長)。IHIはJFEと共にJMUの経営に深く関与し、まずは同社の立て直しを急ぐ。「そもそも、円高ですぐに赤字になる体質からしておかしい」(JFE役員)と、両社は怒り心頭に発しているのだ。

 造船業界は競争環境も厳しい。中国では国営造船グループが統合に向けて動いているとされる。韓国では政府がせっせと自国の造船会社の支援に当たっている。

 経営基盤の強化が一刻を争う状況の中では、固定費の削減や適正受注の徹底はもちろん、拠点の統廃合をするかどうかも焦点となる。JMUは13年の誕生以降、同社を率いてきた実力者、三島愼次郎前社長が雇用の確保を重んじ、事業所の維持にこだわってきた。だが、その三島氏も3月で特別顧問に退き、造船業界ではいよいよ“聖域”にメスが入るとの見方が出る。

 業界再編のトリガーとなり得るIHIのJMU株売却案は、こうした構造改革を経て具体策が練られることになりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)