尿失禁や尿漏れに悩む男性は多い
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尿漏れの原因は、単純に老化だけではない。加齢とともに増えて行く、がん、脳卒中、心筋梗塞等々、重篤な病気のほとんどが、予後に排泄の問題に直結する。これに対応して、再生医療をはじめ最先端技術を用いた治療法の開発もチャレンジされつつある。尿漏れに悩む患者にとって朗報となる日は近いかもしれない。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

排泄は人間の尊厳に
かかわる深刻な問題

「排泄の問題は、人間の尊厳にかかわる深刻な問題です。漏らしてしまうことは、本人にとって非常に悲惨な出来事なのに、日本ではまだまだ軽視されている。介護の現場でも適切な排泄ケアはあまり普及しておらず、オムツや導尿のカテーテルを安易に使ってしまうことで、寝たきりや認知症の誘発につながっています。

 嫌ですよね、オムツをつけられて、『さあ排泄しなさい』と言われても、なかなか出せるものではありません。たとえ出せたとしてもがっくりきて、寝たきりや認知症が進んでしまう患者さんもいます。そういう方は男性が多いですね」

 そう訴えるのは名古屋大学医学部付属病院・泌尿器科の後藤百万(ももかず)医師だ。さかのぼること16年前、2002年に本邦初となる高齢者排尿障害の疫学調査を実施したのを皮切りに、排泄の問題に取り組んできた。

「頻尿で悩んでいる人が4500万人、失禁は1120万人もいることが分りました。その割合は高齢になるほど増え、60歳以上では78%、つまり10人中8人がシモの悩みを抱えていたのです。日本社会は今後ますます高齢化していき、20~30年後には全人口の10人に1人が尿漏れを抱えた高齢者になるだろうという試算もあります」