せっかく政府が方針を転換したのだから、できれば多くのサラリーマンが自分自身で副業を持ち、また、同僚が副業を持つことに対して寛容であることに対して積極的であってほしい。

 転職のように、一般化し始めてから世間で普通のこととして受け入れられるために10年以上の年月が、副業の受容のためにも必要なのかもしれないが、「もっと早くてもいい」と筆者は思っている。

 拙文を読んで、「世間の目」を随分気にしていると思われるかもしれないが、率直に言って、人間は他人の評価が気になる生き物だし、世間の目は空気のように周囲に張り巡らされているので、個人にとって気になるものである。

 今後、主に後輩世代の人たちのためだが、副業についても、早く世間の見方が好意的なものになるようであってほしいと筆者は思っている。

筆者個人の副業の歴史

 読者のご参考のために、筆者自身の副業に関する経緯と経験を簡単に記しておこう。

 筆者が、多少なりとも勤務先の会社以外からの収入を持つようになったのは、30代の前半から、雑誌の原稿を匿名で書くようになってからだった。

 筆者は、金融業界内のインサイダーとしてメディアの取材を受けることが何度もあったが、その折りに、「取材のインタビューに答えてくれるのでもいいのですが、記事の原稿を匿名で書いてくれてもいいです」という依頼先が複数できて、匿名(時々変わるペンネームによる原稿が多かった)で書く原稿が生じるようになった。

 概ね30代を通じて、筆者は匿名の原稿を、たぶん200〜300本書いた。この頃に筆者が書いた記事は、その後、なんら筆者の実績にはならなかった。ただ、商品になる原稿を書いたことで、専門家向けの運用の本を書くことができて(山一破綻後の再就職に大いに役立った)、その後の一般向けの書籍を書くきっかけになった面はあるのだが、過去の匿名の仕事は、大きな意味で自分の仕事の蓄積にはなっていない。

 仕事により真剣に取り組むためにも、また副業の成果を自分の実績とするためにも、副業にあっても自分の名前をオープンにして本名で副業に取り組める状態が好ましいことを強調しておきたい。副業を単に小遣い稼ぎのためだけのものだと考えるのはもったいない。

 筆者が本名でかなりの頻度(一週間に一度以上)で原稿を書くようになった時に、筆者は40歳を少し過ぎていた。その後の評論家のビジネスを考えると、かなり遅いスタートだ。