「リーダーシップ」に対する
あなたの認識は古いかも…!?
「あなたは職場でリーダーシップを発揮していますか?」――そう問われたら、皆さんはどう答えるだろうか。
「はい、課長ですから」
「いいえ、私にはそんな権限はないので」
……こんな具合に、役職や権限と紐付けてリーダーシップを語る人は多いだろう。
日本でリーダーシップというと、「カリスマ性を持った一部の人が他のメンバーを引っ張る」というイメージが強い。しかし、現代においてチームで成果を上げていこうとするなら、この認識を改めたほうがよさそうだ。
今、世界標準になりつつあるのは、目標を達成するために、権限や役職によらず、チームの全員が自ら他者を巻き込みながら行動するリーダーシップである。他者を巻き込む影響力が大事なので、「メンバーを引っ張る」といった前に出る行動だけでなく、新入社員にもできるような「意見を出しやすい雰囲気を作る」「相手の意見を引き出すようなさりげない気遣い」などもリーダーシップといえる。
こうしたリーダーシップの考え方は、1980年代にグローバルに展開するアメリカの企業を中心として広がり、今では多くの先進国の企業に普及している。
大学におけるリーダーシップ育成プログラムの開発・実践や企業研修を行う、早稲田大学総合研究センター 日向野幹也教授はこう語る。
「かつてであれば、組織のトップが的確な指示を出し、それに従うことで効率的に成果を上げることができました。しかし、ものすごいスピードで環境が変化し、問題が複雑化する予測不能な現代社会においては、トップに頼りきるばかりではなく、現場でも判断し素早く変化に対応していく必要があります。また、そんな中で成果を上げていくには、権限や役職に関係なく、アイデアのある人が周囲に働きかけ、率先して動くことでイノベーションを創出していかなくてはならないのです」(日向野教授、以下同)