実用化が進む電動モーターの技術開発最前線
すべてモーター回転数を1回だけ減速させている日産のリーフ。今後は変速機とモーターを組み合わせる方法は今後、採用例が増えると予想される Photo:NISSAN

EVとHEVの需要高まり
3大研究テーマは?

 世界的にEV(電気自動車)とHEV(ハイブリッド車)の需要が高まるとの予測を受け、この分野の技術開発がにわかに活発化してきた。繰り返し充電できる2次電池、電動モーター、駆動力制御システムの3つが大きな研究開発テーマである。このうち2次電池は、現在の主流、リチウムイオン電池の改良と次世代電池の開発が中心だ。制御系はより高精度な制御プログラムとロスの少ないパワー素子と冷却システムが開発の柱である。そしてモーターは、さまざまな新機軸が登場している。ここ数年で最も多様化したのが電動モーターといえる。その開発最前線を追ってみた。

 米国のテスラ・モーターズがEVに初めてインダクション(誘導)モーター(以下=IM)を採用したのは2012年。それまではブラシレスシンクロナス(同期)モーター(以下=BLM)だけだったEVモーターに新風を吹き込んだ。BLMは電磁石と永久磁石を用いるモーターで、性能のいい永久磁石を用いるとその分だけモーターのトルク性能と効率が上昇する。欠点は高回転時の効率が落ちることと、永久磁石に使うディスプロシウムなど希土類(レアアース)の国際相場にモーターコストが大きく左右される点にある。IMは通常回転時の効率がBLMに比べ劣るため、大トルク・大出力を得ようとするとモーターが大型化してしまう。互いに一長一短だ。