国内線の短い乗務時間の間に
お客様を満足させることの難しさ

小室 常にポジティブな側面に目を向けられるのですね。子育てと仕事の両立に関してはどうでしたか。

大川順子(おおかわ・じゅんこ)
JAL取締役副会長。北海道出身。1977年、日本航空入社。乗務員キャリア25年。2006年4月、機内サービス部長に就任。客室サービス企画部、客室品質企画部長を経て、2010年の経営破綻翌月に執行役員客室本部長に抜擢された。13年に取締役専務執行役員客室本部長に就任し、14年コーポレートブランド推進部担当。16年代表取締役専務執行役員コミュニケーション本部長。18年4月から現職

大川 私は、子どもが0歳のときに育児休業で6ヵ月お休みを取得して職場復帰しました。そして、子どもが保育園のころ教官職となり、子どもを持つ教官の第1号となりました。ただ、教官職は1日の始終業時刻や勤務時間がほぼ一定であるのに対し、フライトはその日のスケジュールにより長時間勤務になることもあるので、むしろ教官職のほうが子育てと仕事を両立しやすかったかもしれません。それよりもフライトに復帰するときのほうが悩みました。

小室 どんな制度を使って両立していたのでしょうか。

大川 当時は希望によって短時間の乗務が認められていたので、それを活用しました。現在は深夜業免除の適用などもあります。それまでは主として国際線を飛んでいましたが、短時間乗務になると必然的に国内線の仕事が増えます。当時、羽田と広島の往復を繰り返して乗務したのを覚えています。

 今振り返ると、その経験はとてもよかったと思います。国内線は国際線とは違う難しさがあります。

小室 仕事の幅が広がったということですか。

大川 日本からロンドンやニューヨークに向かう10時間以上のフライトでしたら、たとえばご搭乗いただいたお客様が弊社のサービスに何か不満をお持ちであったとしても、その間に色々アプローチすることにより挽回できます。それに対して、羽田から伊丹や小松に向かうフライトの場合は、ベルトサインが消えていて乗務員が動ける時間は20分~25分くらいです。

 その中で、お客さまに「また乗るよ」と言っていただくのは、なかなか難しいと感じていました。仕事の質が高くなければ、お客さまには喜んでいただけません。