新しい職場に移ったり、自ら新しい目標を立てたり、新年度は何かと気持ちが高揚することが多い。だが、ゴールデンウイークが終わったこの時期になると、張り切っていた精神状態も一段落し、日常に戻り出す。
精神状態の浮き沈みなく、自然に日常を受け入れられるようになればいいが、なかには「何もやる気になれない」など意欲が低下したり、落ち込みがひどく一時的なうつ状態になったりする人もいる。いわゆる「5月病」だ。
気持ちの切り替えがつかないと、これがきっかけとなり心身の体調を崩してしまう人もいるので、「たかが5月病」と侮ることはできない。会社員の場合は、そのまま仕事に戻れず、退職してしまうケースもあるようだ。
5月病に限らず、病気になって仕事を休みがちになると、「会社を辞めなければ……」と思うかもしれないが、それは早合点というものだ。
会社員の健康保険には「傷病手当金」という制度があり、病気やケガで療養している間は所得保障をしてもらえるので、早まって会社を辞めることは絶対に避けてほしい。
労働者の生活の安定のために
始まった会社員の健康保険
1922年(大正11年)、「健康保険法」が制定され、工場や炭鉱で働く労働者を対象とした公的な医療保険が作られることになった。
健康保険法が制定された頃は、日本が近代国家への道を模索していた時期と重なっており、富国強兵を目指すなかで近代産業を発展させるために、労働者の生活を安定させる必要があった。