Aさんの姿を見て育った子どもたちは、結婚というものに対して、いくぶん冷やかな視線を当てているのではないか、ということだ。

 さらにもう一つ、Aさんには自責の念に駆られることがある。

「あまり親離れしていないというか、そんな印象があります。上の子は専門学校を卒業後、職場を実家の近くで探してそこに就職しました。下の子も職場は実家からの通勤圏内でした。どうも私を一人にするのが心配みたいで。確かにあの子たちが出ていってしまえばこの家は寂しくなりますが、家族とはそういうものだと思いますし、私もまだ46歳でこれから色々なことを始めて楽しんでいける年齢です。『私のことは心配しなくていい』とは伝えてあるのですが……」

 そういうAさんの顔は心なしか満更でもなさそうである。

「でも進展があって、下の子が去年から職場の近くに引っ越して一人暮らしを始めたんです。ほとんど毎週末帰ってきては『実家の方がいい』なんて言ってますけど。そんな妹を見て姉は『私も社会人として実家を離れて一人暮らしした方がいいのではないか』『私がこの家を出たらお母さんがとうとう一人になってしまう』という思いに揺れているようです」

 母と子2人、互いを思う気持ちは本物だが、そのベクトルがぴったり一致していない難しさがあるようだ。

「好きにすればいい」
子どもの結婚を特に望んでいない親は

 もちろん子どもの結婚を強く希望する親ばかりではない。「子どもは子どもで自分の選んだ人生を好きに歩んだらいい」と考える親もいる。

 Bさん(54歳男性)には30歳の息子がいる。息子に結婚する気配はなく、仕事に遊びにと忙しそうである。

「結婚は、好きにすればいいと思っています」(Bさん)

>>(下)に続く

>>(下)を読む