ちょっとした軽い五月病なら、ドラッカーの言葉が励みになる
写真はイメージです

5月も中旬を過ぎた。4月に入った新入社員の中には、希望する会社に入ったものの、理想と現実とのギャップを感じ、悩み始める人も出る頃だ。いわゆる、「五月病」である。そこで少々唐突ではあるが、ピーター・F・ドラッカー氏のファンであり、産業医としても勤務している筆者が「ドラッカーなら五月病の新入社員にどんなアドバイスをするか」を考えてみた。(中央大学大学院教授、医師 真野俊樹)

五月病って何
新入生や新入社員の「不調」の総称

 五月病とは非常に有名になった言葉であるが、明確な医学の言葉ではない。ゆえに明確な基準もない。マスコミでは使いやすいために、4月に入った新入生や新入社員がしばらくしてから体調不良になったり、メンタル的に不調になったりすることを総称してそのように言っている。

 しかし産業医をしていて思うのは、純粋な五月病という人は減って来ている。この後お話する若い女性の例もそうで、実際には6月ぐらいに体調を崩して休みだした。もちろん問題になり始めた時期が5月という意味では、五月病といっても間違いではない。

 逆にいえば、何かのタイミングでこのような現象が起こると考えた方がいいかもしれない。何かのタイミングとは、転勤であったり単身赴任であったり昇進であったり、もちろん降格人事などはその原因になるものである。

 何にせよ「明確な定義」はないのが五月病であるが、似た考え方に「アパシー」という考え方がある。

 アパシーとは、英語で「無気力」のことだ。これは私が名古屋大学医学部の学生だった時に講義を受けたのだが、ハーバード大学の精神神経科医R.H.ウォルターズが提唱した考えで、日本には精神科医の笠原嘉が導入した考え方である。簡単に言えば「無気力でやる気がなくなる」ということになるが、たちが悪い場合もあり、長期化することもある。