上司はそういう人だから仕方がない

 また、上司と部下が互いの特性を把握できるようになったことも大きい。
 以前は上司が黄や赤優位で、部下が緑優位だと、部下の不満が溜まった。
「こっちは決まった仕事をきちんとこなしているのに、うちの上司は言うことがコロコロ変わる」という不満です。

 しかし、EGを公開してお互いの特性を見える化したら、
「上司はそういう人だから仕方がない」
 とあきらめるようになった(笑)。

 上司と部下の組合せについては、以前から「エナジャイザー」というツールも活用していました。

 これは人の適性や能力を測るツールで、おおざっぱに言うと情報処理能力、性格、モチベーションの3つを数値化できます。

 上司と部下の組合せで意識しているのは、情報処理能力が同じレベルの社員同士を組み合わせること。
 具体的には、能力差が20以内に収まるように組み合わせます。

 部下と比べて上司の頭がよすぎると、「どうしてこんな簡単なこともわからないんだ」と部下を見下して、しまいには放置するようになる。

 逆に部下の能力が上司より高すぎてもダメ。
「うちの上司はバカだ」と心のなかで舌を出して、指示を聞かなくなります。

 能力の高い上司の下には能力の高い部下をつけ、それなりの上司にはそれなりの部下をつける。

 そうすると、互いに敬意や親近感が生まれてコミュニケーションが活発になり、上司も部下も能力が伸びます。このことはエナジャイザーの数値の結果としても表れています。

 こうした配属方針は、社員の特性や能力が客観的に数値化されているから可能になりました。

 これは「数字は人格」というより「人格を数字に」する話ですが、会社や社員を成長させるという意味ではこちらも重要です。

 ぜひ、第1回連載にある、【あなたの会社の危険度ワースト「15の死角」】をチェックしながら、『数字は人格』をカラダ中の細胞に植えつけていただけたらと思います。