『週刊ダイヤモンド』5月26日号の第1特集は「物流クライシス 送料ゼロが終わる日」。外食業界は零細企業が多数集積する独特な産業構造であることが災いして、物流分野における協業がほとんど進んでいない。だが、外食大手のロイヤルホールディングスと、長崎ちゃんぽんチェーンのリンガーハットが、業界に先駆けて共同配送の取り組みを始めていることが本誌の調べでわかった。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)
リンガーハットとロイヤルホストロイヤルホスト(上)とリンガーハット。創業の地もそれぞれ福岡と長崎で共に九州なのも意気投合の理由 Photo by Akira Yamamoto

「一緒に物流をやりませんか」

 ロイヤルの菊地唯夫会長とリンガーハットの米濵和英会長が会食の中でそんな言葉を交わしたのは、2016年末のことだった。共に日本フードサービス協会の会長を務めたことのある二人。外食業界全体の危機感と責任感を強く持っているトップ同士だからこそ、手を取り合うことにためらいはなかった。

 外食チェーン各社を物流費上昇の波が襲っている。セントラルキッチンや配送センターから全国に散らばる店舗への輸送費が負担となっており、特に郊外などのFC展開を中心とした店舗がまばらな地域への配送は、効率が悪く各社悩みどころだ。

 そうした中、ロイヤルとリンガーハットは、昨年の9月から沖縄への共同配送を始めた。

 ロイヤルが持つ沖縄の物流拠点への海上配送ルートに、リンガーハットの食材などを積み込む。リンガーハットが出発点の福岡・博多港に荷物を持ち込み、ロイヤルの船便の余剰スペースを活用して積載する形だ。