小規模事業所ほど未実施率も上昇
「社長だけ受診」の横着企業も

 ローソンの例のように、社会的責任が伴うような大企業では、社員が定期健康診断を受けるよう半ば強制的に促すところもある。
 
 その一方、厚生労働省による12年度実施の調査データでは、過去1年間に定期健康診断を行った事業所の割合は91.9%となっており、1割弱の事業所が健康診断を実施していないことが分かる。

 データの内訳を見てみると、従業員500人以上の事業所では実施率が100%、30~49人規模では96.8%、10~29人規模で89.4%と、従業員数が少なくなるにつれて実施率も下がる傾向にあるようだ。

「ただ、この調査では従業員10人以下の事業所は対象外となっています。また、こうした調査に協力する事業所は、真面目な企業。調査に反映されない小規模事業所などを含めると、実施率は大幅に下がると思います」

 ちなみに、この調査によると、実施率が低い業界は「生活関連サービス業・娯楽業(78.8%)」「宿泊業・飲食サービス業(86.6%)」「卸売業・小売業(88.6%)」などである。飲食サービス業だと深夜労働の店舗もあるだろう。それこそ健康リスクは高くなるはずだが、従業員の健康により気を使うべき業界が、健康診断を実施していない傾向にある。

「定期健康診断の会社側の負担は1人当たり7000円~1万2000円ほど。さらに労働時間内に実施するとなると、労働力が業務以外のことに割かれてしまう。企業にとっては多少の負担になることは事実です」

 そうした中で、費用や労働力を惜しんで、あえて定期健康診断を実施しないというブラック企業もあるだろう。

「中には、社長だけ健康診断を受けて、社員には実施しないという悪質なパターンもあります」

 またそれだけでなく、経営者が法律を分かっていない場合もあるという。

「仲間内だけで立ち上げたようなベンチャーで、組織としてまだ体をなしていないような企業だと、定期健康診断は先延ばしにしてしまうことも。あるいは、労働者側も健康診断を受けるのが面倒なので言い出さなかったり、使用者に主張することができない、ということもあるでしょう」

 そうした“空気感”の中で、守って当たり前の法律が無視されるような環境が醸成されてしまっているのだという。