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グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

ノウハウはあっても伝える相手がいない
日本産業の課題をどうやって克服するか

大西 俊介
【第5回】 2018年6月1日
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 また「労働参加」についてですが、日本はほかの国と比べて元々高齢者(この場合は60~65歳)の就労率が高いようです。ですから、さらに、ということになると65歳以上の就労率を高めるということになりますが、どこまで補完的な役割となるかは疑問です。逆に女性の就労率向上には伸び代があります。日本はそもそも機会公平性の提供がまだまだできていませんから、その観点からも様々なインフラ整備や意識改革が進められるべきです。そして結果として労働力の確保という観点からも一定の成果が想定されます。北欧なみの就労率となった場合、少子化の影響を50%緩和するともいわれています。

 一方、「労働生産性」についてですが、現時点の考え方は長時間労働の減少がその大きな目的となっています。とにかく、世界の他の国と比べると日本は大いに低いわけですから。なので「成果を増やしていく」つまり拡大方向にはいろいろ施策が向いていないように思います。

日本の課題可決には
RPAより互恵的国際連携を重視すべき

 ITの観点から、ここで出てくるのがRPA(Robotic process Automation)ということになりますが、私自身はRPAがRPA単体で論じられることに大きな懸念を感じています。なぜなら、RPAは作業の自動化でしかないので、飛躍的に大きな成果を生み出すものはないからです。自動化され、様々なデータが蓄積されることにより分析が進み、判断をシステムが提供することになります。

 RPAを一話完結の施策としてとらえるのではなく、認知判断プロセスの自動化や高度化を視野にいれてAI活用のロードマップを策定するべきです。RPAがRPAとして一話完結型でとらえられたままでは、効果の少なさに失望した企業が一度この分野に対する投資を控えることになるでしょう。Hype Curve効果ですが、先に述べたような中期的な視点を持つことによって、この落ち込みは少なくすることができるはずです。私のお客様でも進んだ取り組みをされているところはそのような考え方を持たれています。

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大西 俊介
[インフォシスリミテッド 日本代表]

おおにし・しゅんすけ/1986年、一橋大学経済学部卒業後、同年日本電信電話株式会社に入社、株式会社NTTデータ、外資系コンサルティング会社等を経て、2013年6月より、株式会社NTTデータ グローバルソリューションズの代表取締役に就任。通信・ITサービス、製造業界を中心に、海外ビジネス再編、クロスボーダーな経営統合、経営レベルのグローバルプログラムの解決等、グローバル企業や日本企業の経営戦略や多文化・多言語の環境下での経営課題解決について、数多くのコンサルティング・プロジェクトを手掛ける。NTTデータグループの日本におけるSAP事業のコアカンパニーの代表として、事業拡大に貢献した。SAP2017年1月1日、インフォシスリミテッド日本代表に就任。著書に「グローバル競争を勝ち抜くプラットフォーム戦略」(幻冬舎)等がある。

グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

グローバル化とその揺り戻しともいえる保護主義が錯綜する世界のビジネス環境。そこで生き残る企業の条件を、外資系IT企業日本代表の立場で論考する。

「グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略」

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