大騒動に発展している日本大学の悪質タックル問題。前回、説明したように「監督に話しかけにくい」という体育会系の土壌が事件の背景にはあります。日大の件に限らず、この「話しかけにくい」はあらゆるトラブルの種で、早急に改善すべきことです。今回は『1秒で気のきいた一言が出るハリウッド流すごい会話述』の中から、話しかけにくい人がいかに損をしているかを説明し、話しかけやすい人になるための方法を紹介します。

悪質タックル事件の根っこにある
監督の「話しかけにくい」キャラ

 誰にだって学校や職場に1人ぐらいは、話しかけにくいと感じる人がいるはずです。あなたがそういうキャラクターの場合、それを内心、「いいこと」だと思っていませんか。もし、そうならすぐに考えを改めてください。なぜなら、周りから「話しかけにくい」と思われている人は、本人が思っている以上に損をしているし、日大の悪質タックル騒動が好例ですが、トラブルや不幸を引き起こす要因となっているからです。

 家族間でも同じです。高校生ぐらいの頃、親に対して「話しにくい」と感じていた人も多いのではないでしょうか。そのため、あなたも高校生の頃、何か問題を起こしても親には言わずに、自力でカバーしようとした経験はありませんか。私の友人はバイク事故を起こした事を親に隠したくて、病院に行かずに痛みに耐え続けていました。しかし、数日後、あまりの痛みで病院に行ったら腕が折れていたそうです。その結果、完治しても腕の骨が完全には真っすぐには戻らなくなった上に、親にも余計に怒られたそうです。確かに、親は子どものためを思って厳しくしているのでしょう。しかし、そのために適切なタイミングで子どもが病院に行けなくなってしまったら、本末転倒としか言えません。

 ビジネスの世界ではさらに顕著です。例えば「話しかけにくい社長」に対して、おびえた社員は悪い事を伝えるのを避けたがります。その結果、社長は裸の王様となってしまい、適切な経営判断が出来なくなってしまいます。

 厄介な事に、「話しかけにくいオーラ」を身にまとっているビジネスマンは、その事に自覚がないことが多いです。もっとタチが悪いのは、「体育会系」とか「叩き上げ」という言葉を使い、自分が「話しかけにくいオーラ」を身にまとっている事を正当化している人も少なくありません。「威厳がある」と勘違いしている人もいます。

 どんなに「話しかけにくいオーラ」を正当化しても、他人から肝心な情報を得にくくなるという事がプラスに働く事は、ほぼゼロです。日大の悪質タックル騒動の背景に、こうした「話しかけにくいオーラ」が影響していることは、すぐに想像できると思います。実際、反則を犯した選手や監督の指示を伝えたコーチの会見での発言を聞いていると、選手やコーチは監督と正常なコミュニケーションができていなかったことがうかがえます。

 今回の騒動を教訓にして、体育会系に限らず、できる限り「話しかけやすいオーラを出す」という意識を持つようにするべきです。