先日、信号待ちで停止しているときに、4台からなる玉突き事故に巻き込まれた。筆者は赤信号の先頭で停止しており、後ろに2台の車が停止していた。
さらにその後方から、4台目の車がドカンとぶつかってきて、ドン、ドンと玉突き衝突になってしまったのである。先頭にいた筆者の場合、衝撃力は弱まり、後部バンパーにコツンと当たっただけであった。
近くに神社の駐車場があったので、そこへ車を乗り入れる。バンパーにかすり傷が付いていた。
残りの3台はどうしたのかな、と周辺を見回したところ、道路に立ち往生したまま。近づいて見て回ると、全員が女性ドライバーで、運転席で泣きじゃくっていた。
携帯電話を使って警察と救急に通報しながら、車3台を駐車場に誘導する。後方の車のクラクションが、けたたましい。こういうときに、人はその性格を表わすようだ。
全員に目立った外傷はない。警察車両や救急車もすぐに到着した。現場検証や事情聴取って、そういうふうにするのか、などと、暢気な傍観者になって見学していた。最初に衝突してきた人は、携帯電話を操作していて前方不注意であったらしい。
その場で家族へ連絡したのはもちろんだが、迷ったのが保険会社への連絡である。自分の車に戻ってダッシュボードの中を見ると、自賠責やら任意保険やら、保険会社の名前がずらりと書き並べてあった。
どこへどう連絡していいものやら。こういうときは保険会社ではなく、車を購入した販売店(ディーラー)の担当者へ連絡するのが一番であることを、紹介しておこう。
その日の夜、最初に衝突した加害者の保険会社から、連絡があった。100%の過失を認めるという。その応対に、さすが手慣れているという印象を持った。
保険約款というと、針の先でつついたような細かい文字がびっしりと並んでいて、とても読む気になれない。それでも我慢しながら保険証券を矯(た)めつ眇(すが)めつしているときに「そうだ、次のコラムは保険会社を扱おう」と考えた次第である。
保険会社と事業会社を区別しないのが、
経営分析の基本
以下では、製造業や流通業を「事業会社」と呼ぶことにする。メディアでは、上場企業の業績を語る際、「銀行・証券・保険を除く」という表現をしばしば用いる。事業会社とは明らかに異なる扱いだ。
本連載では、第10回コラム(メガバンク編)と第11回コラム(地方銀行編)以外で、「銀行・証券・保険」を積極的に取り上げたことがない。しかも保険会社は今回が初登場である。