コンサルティングは「スポ根」だ⁉︎

池井戸 岡本さんの会社は、いわゆる「両手仲介」をやらないんですよね。そもそもM&Aにおける売り手と買い手って、利益相反しているわけでしょう?

 売り手は高く売りたいし、買い手は安く買いたい。たいていのM&Aの会社は両方の話を聞いているけれど、岡本さんは売り手なら売り手、買い手なら買い手の、どちらかだけの代理人になる。そうして、売り手の側に立つときは、売りたい時期の2、3年前からその会社に関わって、コミュニケーションを取りながら信頼関係を醸成し、財務をブラッシュアップして、より高く売れるようアドバイスをしているんです。

岡本 売り手と買い手、両方の事情を知ってしまうと、どうしても手早くまとめて、自分たちの利益を確保する方向で仕事をしてしまう恐れがありますが、それはやっぱりやってはいけないことなので、僕たちとしては、どちらか片側にしかつかない。その方針は、事業を始めた当初から明確にしています。

 その上で、売り手の方に対しては、事前の事業の磨き上げで価値を高めるように二人三脚でのお手伝いを心がけているし、買い手の方には、より望ましい相手とマッチングができるように……。約2年前からは、東京大学の田浦研究室・鶴岡研究室との産学連携で、インターネットやAIを駆使して最適な相手先企業を探し出せる仕組みを作り始めています。

池井戸 とにかく、岡本さんをはじめとして、会社の人たちが皆、熱いんですよ。僕も出席する月一回の役員会議や営業会議の場は、はっきり言ってスポ根マンガの世界(笑)。「この会社、大変だ。何とか救おうや!」と本気で討議していて。

岡本 ハハハ。そうですね。普通は冷静になるはずのベテランの役員まで、クライアントに会って話を聞くと、つい「何とかしよう!」って。

池井戸 「これは本当に顧客のためになるのか?」「利益より、お客さんのことを第一に考えよう!」といったことを、皆が真剣に言い合っている。あの様子を見たら、この会社にコンサルティングを頼みたいと感じる人は、たくさんいるんじゃないかな。

 少なくとも、僕の小説にこれまで登場した中小企業の経営者の人たちは、間違いなく相談に行ったほうがいいと思いますね。

6月12日(火)公開予定の後編に続きます)

©2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

事故か、
事件か。
累計18
0万部突破の大ベストセラー
池井戸潤作品 初の映画化!

映画「空飛ぶタイヤ」 6月15日(金)全国公開

http://soratobu-movie.jp/
 

 ある日突然起きたトレーラーの脱輪事故。整備不良を疑われた運送会社社長・赤松徳郎(長瀬智也)は、車両の欠陥に気づき、製造元である大手自動車会社のホープ自動車カスタマー戦略課課長・沢田悠太(ディーン・フジオカ)に再調査を要求。 同じ頃、ホープ銀行の本店営業本部・井崎一亮(高橋一生)は、グループ会社であるホープ自動車の経営計画に疑問を抱き、独自の調査を開始する。 それぞれが突き止めた先にあった真実は大企業の“リコール隠し”――。
 池井戸潤が、「ぼくはこの物語から『ひとを描く』という小説の根幹を学んだ」という程に思い入れのある原作の映画化に、日本を代表する豪華キャストたちが大集結!
 果たしてそれは事故なのか事件なのか。 正義とはなにか、守るべきものはなにか。
 観る者すべての勇気を問う、世紀の大逆転エンタテインメント!