中国を取り巻く国際環境は変化
米中通商協議は予断を許さない

 中国を取り巻く国際環境が目まぐるしく変化しているように見える。中国の国際関係・外交政策研究者・関係者たちは往々にして「外交の目的とは現代化建設を推し進めるために必要な平和的な外部環境をつくることにある」と口にする。

 教科書的な理解であり解釈であるが、情勢が目まぐるしく変化する中、この文言が中国の現代化建設に対して持ちうる意味、もたらす意義というものを考えさせられる今日この頃である。

 6月2日〜4日、米国のウィルバー・ロス商務長官が訪中し、3度目の米中通商協議に臨んだ。先月ワシントンDCで開催された協議では両国が共同声明を発表し(前回コラム参照)、米中“貿易戦争”は少なくとも摩擦を回避し、交渉を通じて妥協点を模索し合う方向性に落ち着いていく姿勢が示された。

 3日(北京時間)に行われた協議後、国営新華社通信が党・政府の立場や認識を表明する記事を発表し、「双方は両国がワシントンDCで一致した合意を推し進めるべく、農業やエネルギーなど他分野にわたって良好な意思疎通を行った。前向きで具体的な進展を得た。関連する詳細に関しては双方による最終的確認を待たなければならない」とした。

 一方で、「仮に米国側が追加課税といった貿易制裁措置を取るのであれば、双方間で一致に至ったすべての合意は無効になる」ともくぎを刺した。米中通商協議はまだまだ予断を許さない状況が続いていると見るべきであろう。