人生100年時代が到来するといわれている。寿命は延びる一方、生涯収入は1990年代と比べ減少し、退職金は激減。年金の受給年齢は5年引き上げられ、社会保障費も削られ、金利はほぼゼロ。企業にも国にも頼れない時代、充実した定年後を生きるにはどうすればいいのか。83歳の現役ビジネスマンにして『定年前後の「やってはいけない」 人生100年時代の生き方、働き方』の著者、郡山史郎氏が、定年後の賢い働き方について解説する。
「不本意な人事」でも前向きであれ
前回と前々回では、定年前後にやってはいけないことを具体的な事例を挙げながら紹介してきた。今回は、「幸せな定年後」を過ごすために、「やったほうがいいこと」を紹介する。
まずは会社での働き方について。「意に沿わない異動の内示が出たのですが、転職した方がいいでしょうか」と尋ねてくるビジネスマンは、思いのほか多い。そんなとき、私はいつも「会社の命令に従いなさい」とアドバイスしている。
私自身、異動の指示に背いたことは一度もないし異動の理由を聞いたことさえない。異動には必ず会社側の理由があるのだから、それを問いただしたところで覆るわけもない。また、異動を断りでもしたら、必ずといっていいほど後の昇格・昇給などで痛い目に遭う。
異動は自分の意思とは関係のないところで決まることが多いので、納得できる場合もあれば、できない場合もある。しかし、どんな異動でも受け入れた方がキャリアの幅が広がるし、思いもよらない楽しみがついてくる場合がある。だから、まずは社命に従い、やるだけやってみることが大事だ。