再雇用で会社に残っても、65歳まで勤める人はごくわずか写真はイメージです

人生100年時代が到来するといわれている。寿命は延びる一方、生涯収入は1990年代と比べ減少し、退職金は激減。年金の受給年齢は5年引き上げられ、社会保障費も削られ、金利はほぼゼロ。企業にも国にも頼れない時代、充実した定年後を生きるにはどうすればいいのか。83歳の現役ビジネスマンにして『定年前後の「やってはいけない」人生100年時代の生き方、働き方』の著者、郡山史郎氏が、定年後の賢い働き方について解説する

勤務延長と再雇用の決定的な違い

 60歳で定年となったら、会社に「再雇用」してもらって65歳まで働こう…。そう思っている会社員は多いのではないだろうか。しかしながら、これは甘い考え方かもしれない。実際、再雇用で会社に残っても、65歳まで勤める人はごくわずかという話もよく聞く。その理由の前に、まずはこの再雇用制度について解説しておこう。

 2013年4月から実施された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(通称「高年齢者雇用安定法」)により、企業には高年齢者を65歳まで雇用するための「雇用確保措置」を講じることが義務づけられた。具体的には「定年制の廃止」「定年年齢の引き上げ」「継続雇用制度」のいずれかを導入しなければならない。

 2017年、厚生労働省が発表した「高年齢者の雇用状況」によれば、「継続雇用制度」を取り入れている企業が80.3%と圧倒的だ。これによって60歳定年制で退職しなければならなかった人でも、希望すれば誰でも65歳まで同じ会社で働けるようになった。しかしこの雇用延長制度、はっきり言えば、私はあまりよい制度ではないと思っている。