さて、直美さんに愛人宅まで調べた事を伝えると、今までは冷静だった直美さんも眉間にしわを寄せ目をひんむきながら「トコトン調べてほしい!」 という事でした。怒り狂ってるように見えました。

 当事者でなければ、浮気の証拠をつかんで離婚を有利に進めたい、もしくは浮気の証拠をつかんで夫と愛人から慰謝料を取ると思いますよね。こういう状況の奥さんは、そんな事よりも自分の旦那がどんな女性と関係を持っているのか知りたいのです。ジェラシーでしかないのです。直美さんはそのケースでした。

夫の愛人女性は
隣のビルに勤める保険会社のOL

 そこからさらに愛人女性の調査を続けると、驚く事に健太郎さんのIT会社の隣のビルで働く保険会社のOLだったのです。私はまだ探偵見習いの時だったのですごく驚いたのを鮮明に覚えています。今となっては探偵あるあるだと思います。事件は目と鼻の先で行われている事が大半です。

 私が2人体制で愛人女性を尾行し、私の探偵の先輩である通称「レッドスター」は健太郎さんを2人体制で尾行していましたが決定的な証拠がありません。理系思考の健太郎さんは全く無駄のない男でした。

 張り込み5日目、いつも通り健太郎さんと愛人女性の会社前で張り込みをしていたら、レッドスターに「おい、片岡。今からコンビニ行ってくるから何があってもここを動くな 」と言われました。残り2人もトイレ休憩に行きました。私1人で張り込みをしていたら、何も動きがないと場所を変えると思われていたのかもしれません。

 しばらくすると、健太郎さんが廊下で斜め上を見ながら話をしているのが見えました。目線を追いかけると隣のビルで働く愛人女性がいました。レッドスターはこの状況を予見していたのかもしれません。やっと2人に動きがありました。私は一気に緊張してきました。愛人女性は泣きわめいていました。おそらくデートといえば愛人宅であったり群馬の温泉だったり、いつまでもこそこそしていて、いい加減に堪忍袋の緒が切れたといった様子でした。