日立は高い買電価格を求めるが、クラーク英エネルギー相は「日立との交渉の焦点は、国民に安い電力を供給すること」とくぎを刺す。

日本側の融資で補填も

 ホライズンへの出資者を集めるのも簡単ではなさそうだ。

 英国で先行する別の原発計画では、市場価格の2倍の買電価格が設定されたにもかかわらず、資金調達に苦労し、最終的に中国企業が出資して政治問題化した。

 ホライズンの資金が不足した場合、それを補う手段として浮上しそうなのが、日本の3メガバンクなどが融資し、政府全額出資の日本貿易保険が債務保証するスキームだ。このスキームは英国が融資枠を提示してから影を潜めていたが、メガバンク幹部は「計画実行となれば融資する」と話す。

 日本政府は国民負担が発生しても原発輸出の実績を作りたい考えだ。海外で原発を建設し、原子力技術を維持する国家戦略の実現は、日立次第といっても過言ではない。日立の英国原発計画以外はめぼしい案件がないからだ。三菱重工業によるトルコへの原発輸出はコスト増大で不透明感を増している。

 日立の中西宏明会長と東原敏昭社長は英国との交渉が佳境に入った5月22日、安倍晋三首相と夕食を共にした。同席した日立関係者によれば、英国原発計画を「しっかりやるだろう」というプレッシャーを感じたという。日立は経済合理性で計画実行を判断する方針だが、それを貫けるかどうかが問われている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)